手術
関節鏡下手術
関節周囲に直径1cm程度の小さな切開を2~3カ所を設け、関節鏡(カメラ付の細い棒状の器具)を挿入し、モニター越しに関節内を観察し手術を行います。関節鏡下手術は、低侵襲(小さな切開)で出血が少ない、傷痕が目立ちにくい、身体への負担が小さい等の利点があります。
関節鏡下手術イメージ
手術後の傷跡の例
【代表的な手術】
ARCR(鏡視下腱板修復術)
肩腱板断裂に対してアンカーという糸のついたビスで縫い合わせる手術。
肩腱板断裂とは
肩関節を安定化している腱板が断裂した状態のこと。挙上困難や痛み等の症状があります。40歳以上の方に発症することが多く、肩の酷使や肩を強打するなどの外傷、加齢が原因とされています。
術後は、装具固定をし徐々にリハビリを行います。断裂の状態により、術後の経過や社会復帰時期は異なります。
膝前十字靱帯(ACL)再建術
断裂した膝前十字靭帯の代わりに、太ももの裏の内側にある半腱様筋腱から採取した腱や膝の前の膝蓋腱、大腿四頭筋腱を移植する手術。
-
手術翌日からリハビリテーション開始
-
術後2週程度で松葉杖なしでの通常歩行が可能
-
術後2~3か月間は装具を使用
-
術後8~9か月頃でのスポーツ復帰を目標
半月板手術(半月板切除術・半月板縫合術)
損傷した半月板(膝のクッション)を切除または縫合する手術半月板の変性が強い場合は、必要最小限の範囲で切除し、半月板の形を整える切除術が選択されます。一方、血流がある部分の損傷や半月板の変性が軽度の場合には、縫合術が選択されます。
<切除術の場合>
-
手術翌日からリハビリテーション開始
-
術後1ヶ月程度で通常歩行、軽い運動が可能
-
術後3か月程度でスポーツ復帰可能
<切除術の場合>
-
手術翌日からリハビリテーション開始
-
術後1か月程度で通常歩行可能
-
術後3~6か月程度で軽い運動が可能
-
術後6か月程度でスポーツ復帰可能
人工関節置換術
加齢や怪我等で変形した関節の表面を切除し、金属やセラミック製の人工関節に置換える手術です。痛みの軽減や日常生活の質の向上を目的として行われます。
【代表的な手術】
TSA(人工肩関節全置換術)
腱板機能が保たれている変形性肩関節症に対して、痛みの軽減や関節機能の回復を目的として行われる手術。
※術後の主な注意点
-
肩への過度な負担や激しい運動は控える
損傷した関節の表面を取り除き
人工関節を置換
RSA(リバース型人工肩関節置換術)
重度の腱板断裂により腱板機能が失われた肩関節に対して行われる手術。
※術後の主な注意点
-
肩への過度な負担や激しい運動は控える
腱板に頼らず、三角筋の力だけで腕を上げられるように設計された人工関節を置換
TKA(人工膝関節全置換術)
変形性膝関節症や関節リウマチ等により損傷・変形した膝関節に対して、痛み軽減やO脚、X脚の改善を目的として行われる手術。
-
手術翌日からリハビリテーション開始
-
術後1~2週は歩行器や杖を使用して歩行訓練
-
術後3~4週で退院
※術後の主な注意点
-
膝への過度な負担や激しい運動は控える
-
足を組む、深くしゃがむ、正座を避ける
損傷した関節の表面を取り除き、
人工関節を置換
UKA(人工膝関節単顆置換術)
変形性膝関節症で変形が部分的(内側あるいは外側)に限局している場合に適応する。
-
手術翌日からリハビリテーション開始
-
術後1~2週は歩行器や杖を使用して歩行訓練
-
術後3~4週で退院
※術後の主な注意点
-
膝への過度な負担や激しい運動は控える
-
足を組む、深くしゃがむ、正座を避ける
損傷した関節の表面を取り除き、
膝関節の一部を人工関節を置換
人工骨頭置換術
骨折や骨頭の壊死などによって損傷した骨頭を切除し、金属やセラミック製の人工骨頭に置換え、骨頭の受け皿(寛骨臼・関節窩)には手を加えず、自身の軟骨と人工骨頭により関節の機能を取り戻すことを目的とした手術です。
【代表的な手術】
人工骨頭置換術(大腿骨)
大腿骨頸部骨折や大腿骨頭壊死などにより損傷した骨頭を切除し、人工骨頭に置換える手術。
-
術後4~6週程度に通常歩行可能
※術後の主な注意点
-
脱臼しやすい姿勢(正座、横座り)をしない
-
足を組んだりしゃがみ込まない
人工骨頭置換術(上腕骨)
上腕骨頭壊死や変形性肩関節症で、関節窩(受け皿)の状態が良い場合に、骨頭側のみを置換する手術。
※術後の主な注意点
-
脱臼しやすい姿勢(肩への過度な負担や激しい運動は控える)をしない
骨折観血的手術
皮膚を切開して骨折部を直視下で整復し、金属プレートやネジなどで骨折部を内側から固定する手術。髄内釘とプレート固定の2つの方法があります。
【代表的な手術】
髄内釘固定術
骨の内部に「髄内釘(ネイル)」と呼ばれるインプラントを挿入し、骨折した骨を内側から支えて固定する手術です。主に大腿骨や上腕骨など太い骨の骨幹部骨折の際に選択されます。
-
若年者の場合は、1~2年経過後に再手術により抜釘することも可能です(希望者のみ)
-
症状により社会復帰時期は異なります
髄内釘固定術の例
プレート固定術
骨折した部分の表面に金属のプレートを当てて、スクリュー(ネジ)で骨に固定する手術。関節の近くにある骨折など、骨折部位の安定性が特に重要な場合に選択されます。
-
若年者の場合は、1~2年経過後に再手術により抜釘することも可能です(希望者のみ)
-
症状により社会復帰時期は異なります
プレート固定術の例
手の手術
上肢における種々の外傷による組織の損傷の修復(骨、靭帯、腱)、神経障害や変性・炎症性疾患の治療など多岐にわたる種類があります。
【代表的な疾患・手術】
ばね指
指を動かす屈筋腱と、腱がスムーズに動くのを助ける腱鞘の間に炎症が起こる「腱鞘炎」の一種です。指の付け根の痛みや腫れ、指の屈曲困難、指を伸ばす際バネのように跳ねる等の症状があります。
-
社会復帰時期は異なります
※1 炎症を起こした屈筋腱が腱鞘に引っ掛かり、痛みや屈曲困難の原因になっている
※1
腱鞘切開術
ばね指やドケルバン腱鞘炎など、腱が狭い腱鞘をスムーズに通過できないことで生じる痛みや指の屈曲困難などを改善するための手術
※2 腱鞘切開術では、炎症を起こしている部分の腱鞘を切開して、屈筋腱がスムーズに動くようにします
※2
手根管症候群
手のひらの感覚や母指の動作に関わる正中神経が、手首付近の手根管という構造の中で圧迫されることで痛みやしびれ、母指の動かしにくさが生じる病気です。母指での細かい動作がしにくくなったり、痛みとしびれで眠りが妨げられたる場合などもあります。
手根管開放手術
手根管上の靭帯および筋膜を切離し、正中神経の圧迫を解除します。必要に応じて母子の対立動作(母子を小指に向かって持ち上げる動作)を行いやすくする手術も検討する場合があります。
-
横手根靭帯と近傍の筋膜を切離し手根管の圧迫を開放する
代表的手術例
肘の手術
肘関節は、前腕を内側・外側に回す、手首や指の細かい動きをコントロールする、物を持ち上げる、衝突時のクッションになる、スポーツ動作における力の発揮など、日常生活やスポーツ活動において重要な役割を果たしています。外傷、スポーツ外傷、炎症性疾患、神経障害など様々な疾患があり、手術方法は多岐にわたります。
【代表的な疾患・手術】
肘部管症候群
肘の内側にある肘部管で尺骨神経が慢性的に圧迫されることで小指と薬指のしびれや痛みなどの症状が起こる病気です。麻痺が進行すると手の筋肉が痩せてきたり、小指と環指(薬指)の変形がおこります。
肘の内側を叩くと小指と薬指にしびれが走る
尺骨神経前方移行術
尺骨神経移行術では、尺骨神経を前方に移行することで神経の緊張を緩和し、しびれや痛みを改善します。
肘離断性骨軟骨炎
成長期の骨と軟骨がまだ未熟な時期に、スポーツ動作などによって過度な負担がかかることで軟骨と骨の一部が剥がれてしまう障害です。
OATS(骨軟骨柱移植術)
肘離断性骨軟骨炎により損傷した肘関節軟骨部に、別部位から採取した骨と軟骨を移植し修復する手術。スポーツに早期復帰できる可能性が高い治療法。
-
術後数週間はギプス固定
-
術後3ヶ月程度で徐々にスポーツ復帰
-
術後5~6ヶ月程度でスポーツ完全復帰を目指す
※術後の主な注意点
-
リハビリテーションによりスポーツ復帰に備える
-
肘に過度なストレスを加えない
OATS(骨軟骨柱移植術)では、自身の膝関節内の非荷重部から採取した骨と軟骨を移植し、肘軟骨の損傷部を修復します